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平成28年度・第38回 三重県海の子作品展 審査講評(三重県美術教育研究会 後藤みちる)

 第38回三重県海の子作品展に入賞された皆さん、おめでとうございます。 また、出品していただいた児童生徒の皆さん、ありがとうございました。海の子展の審査をさせていただきながら、三重県の海の豊かさと漁業を営む方々のたくましさを改めて感じています。今年度の入賞作品は、海で働く家族の姿を描いたものや海に対する憧れや夢を描いたものが特徴で、一枚一枚の絵から生活や物語を感じました。

 小学校の部で三重県知事賞を受賞した志摩市立和具小学校4年の山本雅乃さん『大きいいせえびとじいちゃん』は、りっぱな伊勢海老のひげと大きな体が力強く、海に背を向けて立つ祖父の姿が逆光で描かれています。その大胆な構図としっかりとした着色からは伊勢海老のずしりとした重さとともに作者の素直な感動が伝わってきました。 また、三重県教育委員会賞を受賞した紀北町立三浦小学校3年の山本りむさん『いっぱいとれたぞ!!』は、祖父の船を取り壊すことになった出来事をきっかけに、漁の様子を見学し描いた作品です。跳ねて水しぶきをあげる魚、作業する人々、大きな網がうねる様子など、一瞬の動きを見事に表現しています。  中学校の部で三重県知事賞を受賞した紀北町立潮南中学校2年の泉憲志郎さん『おいしいマグロを食卓に』は、漁獲されたマグロを漁船で瞬間冷凍し、船からおろす作業の様子を描いています。絵の中心となっているマグロの描写からは、凍ってカチカチになったマグロの質感や漂う冷気さえも伝わってきます。 また、三重県教育委員会賞を受賞した紀北町立紀北中学校3年の山本莉瑚さん『秋刀魚が市場にやって来た!』は、パンパンにふくれた筒状の網からたくさんの秋刀魚が一気に流れ出す様子が、そのスピード感とともに見事に描かれています。また、秋刀魚一匹一匹がていねいに描かれており、心のこもった作品となっています。

 小学校の部では、鮮やかな色彩と正確な描写が美しい東佑丞さんの作品、さまざまな海の生き物を特徴をとらえてのびのびと描いた貝発みささんの作品、早朝から始まる網の手入れをまぶしい朝日とともに独特のタッチと色彩で描いた下地貴子さんの作品、父の働く姿を見学し、会話が聞こえてきそうなほど生き生きと再現した奥村太一さんの作品、海が好き、海にもぐってみたいという気持ちを素直に表現した佐本海優さんの作品が入賞しました。  中学校の部では、コンベアを流れるたくさんの魚と背景の海鳥を生き生きと描いた加藤ひろなさんの作品、魚がホースで吸い上げられる様子を見て驚いた気持ちを素直に表現した菅瀬果音さんの作品、水面の様子を霧吹きの技法を用いて巧みに表現した古市好美さんの作品、空と海、船と働く人々を観察し、ていねいに描いた島亜美さんの作品、働くことの厳しさを真剣な表情とともに描いた伊藤真弥さんの作品が入賞しました。

 最後に、この作品展を通して海の生き物たちの魅力や漁業のすばらしさが多くの人に伝わることと、三重の海がいつまでも美しく豊かでありますことを願いまして審査の講評と致します。