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平成25年度・第35回 三重県海の子作品展 審査講評(三重県美術教育研究会 後藤みちる)

第35回三重県海の子作品展に入賞されたみなさん、おめでとうございます。
小学校1年生から中学校3年生までの応募作品を審査させていただきましたが、どの学年もそれぞれの発達段階に応じた良さを持ち、作者の気持ちが強く伝わってくる作品ばかりでした。

小学校の部では、自身の体験に基づいた発見や感動を素直に表現した作品を中心に、そこから広がる想像の世界を描いた作品、はじき絵や霧吹きぼかしなどの新しい技法を用いた作品など、楽しく絵を描く様子が伝わってきました。
小学校の部で三重県知事賞を受賞した紀北町立相賀小学校5年の泉 憲志郎さん『かつおの祭りだ』は、竿で一本ずつ釣り上げるかつお漁の様子を生き生きと表現した作品で、漁師の真剣さと水しぶきをあげて跳ねるかつおの動きを斬新な構図でとらえ、漁の力強さを見事に描き出しました。
また、三重県教育委員会賞を受賞した尾鷲市立矢浜小学校6年の酒井迅輝さん『さんまの水揚げ』は、網から放出された秋刀魚の重量感と秋刀魚の銀色に光る腹部を、自身の驚きと感動とともに忠実に表現しています。
中学校の部では、漁業の様子を良く観察し作業過程を理解した上で描かれた作品が多くあり、現場の様子が良く伝わってきました。また、ヒロメやバカ貝、のり養殖など幅広い海の幸を題材にした作品が寄せられ、漁業の魅力をさまざまな角度から表現した作品が目立ちました。
中学校の部で三重県知事賞を受賞した尾鷲市立尾鷲中学校3年の森本真帆さん『秋刀魚の水揚げ』は、生き生きとした秋刀魚の重量感を力強く表現し、背景の漁船に至るまで細部を鋭く描き出し、作品と向き合う作者の真剣さが伝わる作品でした。
また、三重県教育委員会賞を受賞した鈴鹿市白子中学校3年の古市彩乃さん『漁港で働く人々』は、漁港で分担作業をする人々の様子を1つの画面の中に収めた作品で、それぞれの人がどのような作業をしているのかを観察し理解した上で、現場の臨場感や働く姿を生き生きと表現しています。

審査では、どの作品からも作者の思いが感じられ、入賞作品の選考や各賞の決定については大変苦労しました。小学校の部では何を描きたかったのかが素直に表現されている作品、中学校の部では海と作品に向き合う作者の気持ちが強く表現されている作品に心を打たれました。
最後に、この作品展がますます発展し、三重の海がいつまでも美しく豊かでありますことを願います。